自尊心の病

フェミニズム、マルクス主義、土壌主義

このブログの「吉本隆明の亀山郁夫批判」でも述べたように、ドストエフスキーの唱えた土壌主義というのは、貴族である自分を養い育ててくれた人々(農奴や労働者)に対する恩を忘れないということにすぎない。もっと理屈っぽい言葉で言うなら、そのような人…

ドストエフスキーとニーチェ

三島由紀夫をはじめ、ニーチェの思想に共感する人は多いけれど、学生だった昔から、私にはそういう人がよく分からなかった。学生の頃は何となくイヤだなあ、と、思っていただけだが、ドストエフスキーが分かるようになってからは、ニーチェの思想は回心前の…

(続々)亀山郁夫の「100分de名著」

正月に、たまりすぎたテレビの録画を消去していて、偶然、亀山の「100分de名著」の最終回(第四回)を見てしまった、ということについてはすでに述べた。見なければよかったのだが、見て、不愉快になり、ついブログに不愉快になった理由を書いてしまった。と…

虚栄嫌い

前稿で私は「朝日に戻ったのは、その文章が良かったからだ。読売を講読していたときは、その文章の肩の力が抜けたような平凡な調子に物足りなさを感じ、産経を講読していたときは、その頭の悪い人が書いたような文章(失礼!)に戸惑い、結局、朝日に舞い戻…

朝日新聞という病

門田隆将の『新聞という病』という本がよく売れているそうだが、私のこの文章はそれとは関係がない、というか、たぶん根っこのところではつながっているのだろうが、さしあたり、直接、関係はない。 朝日新聞は私がものごろころついた頃から、私のまわりにあ…

不幸な家族は幸福な家族を不幸にする

元農水次官が長男を殺してしまった事件の判決が先日あった。 私はこの事件が起きたとき、これは典型的な「いじめ事件」だと思った。 私のいう「いじめ事件」とは、家族の一員が誰かから受けたいじめによって家族が崩壊してゆく事件のことだ。私の家族の場合…

亀山郁夫の「100分 de 名著」

NHKで放送されている「100分 de 名著」はいつも録画していて、あとで見るようにしているのだが、見るのをサボっている。というのも、見ても、がっかりすることが多いので、しだいに録画するだけになったのである。そして、結局は見ないまま消去することのほ…

自虐史観

自虐も行きすぎると虚栄になる。私はアホでしたと一度言えばいい。

マスタベーション

きのう医者に行って、待合室に置いてあった「婦人公論」をめくっていると――その医院には子供向けの絵本か女性向けの雑誌しか置いてないのである――伊藤比呂美が同年輩の女性たちと、自分は「超高齢者」の夫を亡くしたあと、世話する相手がいないので欲求不満…

暴力の起源

思考において、文脈というのはもっとも重要なものだ。文脈を無視した思考は暴力にすぎない。国会中継やテレビ・新聞などを見ていると、マスコミ(左右を問わず)や国会議員(与野党を問わず)には、文脈を無視して自分に都合のよい方向に話をねじまげてゆく…

不登校と医療

昔、大阪で「不登校と医療を考える」というシンポジウムを開いた。精神科医の石川憲彦、川端利彦、門真一郎、それと東京シューレの奥地圭子の四人にしゃべってもらった。とても有益な内容のシンポジウムになった。不登校児が精神科医にかかるさいの参考にな…

アルマーニの制服

これは人のワルクチである。気分が悪いが、言わなければなるまい。 銀座の泰明小学校の校長が生徒にアルマーニの制服を四月から着せるそうだ。「ヴィジュアル・アイデンティティ」とかいうわけのわからんものを生徒に身につけさせたいということだ。要するに…

絶望

西部邁ではないが、日本など滅びてしまえばいい、と思う今日このごろである。その西部でさえ、自尊心の病に憑かれていた。吉本隆明も同じ。辺見庸も同じ。絶望するしかない。しかし、徹底的な絶望から希望が生まれるというのも本当のことだ。

西部邁の死

西部邁が亡くなった。西部邁は自尊心の病から脱け出したのだろうか。どうもそんな風には思われない。最後まで気にくわないやつを罵っていた。若い頃から西部を尊敬していたので、きわめて残念なのである。

イントレランス

ある人が思想的に右、あるいは左、あるいは中道であっても、それはその人の思想なので、私が批判することではありません。しかし、その人が自分の自尊心の病に気づいていないとき、そういう思想は、きわめて危険なものになると思います。なぜなら、自らの自…

ある質問について

昨日の講座のあと、自尊心の病に憑かれている人は、何故、模倣の欲望に憑かれるのですか、という質問を受けました。それについては昨日配布した「解答と回答(16)」のp.13の下から8行目以降、さらにp.15の11行目以降(ペテロはなぜ泣いたのか・・…

小津安二郎事件

(なぜか投稿が消えてしまったので再投稿します。「きのうの授業」というのは13日の授業のことです。) 忘れないうちにメモをしておきますが、きのうの授業のあと、ある人からわたしが授業で、小津安二郎の映画を否定的に扱ったと言われ、驚きました。わた…

自尊心の病

受講生の方には、わたしのいう「自尊心の病」というのが分かりにくいみたいですね。もう何十年も教えてきて、今回の「小津安二郎事件(?)」のようなことは無数にありましたし、これからもあるでしょう。人間中心主義の受講生にはとても分かりにくいようです。…

良心的兵役拒否

良心的兵役拒否というのが私は嫌いです。良心的でなければ、兵役を拒否してはいけないのかと思う。それはまさに辺見さんがおっしゃるように、兵役という制度自体を認める行為でしょう。非良心的兵役拒否でいいじゃないですか。そう書いたら、鶴見俊輔が賛意…

セッション

「ラ・ラ・ランド」というミュージカル映画が良かったので、その映画と同じ監督(デイミアン・チャゼル)が「ラ・ラ・ランド」の前に撮った「セッション」という映画をレンタル店から借りてきて見た。 結論からいうと、「ラ・ラ・ランド」と同様、「セッショ…

豊洲移転問題

わたしはいまマスコミが騒ぎ立てている豊洲移転問題(注)そのものに興味はない。豊洲への移転は安全の面から言って、何の問題もない。わたしにとって興味があるのは、移転して何の問題もない豊洲市場について、なぜ小池都知事やマスコミが問題にしているの…

上がらない方法

私たちは人間の活動を通して、その人間を見ている。そこに優劣はない。時間の流れの中で生きている人間に優劣をつけることなどできない。これはベルクソンが『時間と自由』の中で述べていることだ。 しかし、私たちは人間の活動から時間を奪いとり、その活動…

内村剛介

わたしは内村剛介の書いたものをわりあいよく読んできたほうだと思う。ソ連の収容所などに関して、知らないことをいろいろと教えてもらった。これは感謝している。 しかし、あるときから、内村剛介は詐欺師と言ってもいい人ではないのか、と疑うようになった…

お座布団の上

昨日は林秀彦のわるくちを書いてしまったが、わたしは林を全部あかんと言っているわけではない。わるくちを言ったあとで言い訳みたいになるが、林の思想そのものは好きだ。たとえば、林は司馬遼太郎を尊敬していて、こういう。 司馬さんはずるいお方だった。…

夏苅郁子 

このインタビュー記事は良かった。しばしば、朝日新聞は下らない、廃刊した方がいい、と思うことがあるのですが、こういう記事が載ると、やはり朝日はいいと思う。私がこの医者を愛するのは、えらそうに説教しないし卑怯ではないから。ありのままの自分を他…

物語の暴力 

最近の理研によるSTAP細胞論文の捏造、朝日新聞による吉田調書の誤読、朝日新聞による慰安婦報道の訂正、さらに産経・読売による菅総理の原発事故対応に対する誤報、さらに、さまざまな冤罪事件などを見ていると、やはり、私のいう「物語の暴力」、つまり思…

ありのまま

ありのままでいい、と、なぜ分からないんだろう。威張ったり、人をバカにしたり、卑下したり、頭が悪いとか良いとか言ったり、顔が良いとか悪いとか言ったり・・・分からないんだろうな。悲しいよ。 - ■障害者でよかった、今思う 奈良崎真弓さん(本人会サン…

小川国夫

先の記事を書いたあと、どうしてわたしがシュペルヴィエルという詩人などを知っていたのだろう、わたしの趣味ではないはずだ。多田智満子の影響なのか・・・と、不審に思っていたが、あるとき、これは小川国夫の真似だということを思いだした。 心臓の悪かっ…

不登校

いじめで不登校になる子供も多いですが、なんとなく学校がいやだ、という不登校児も多い。中でも、先生と合わないというのが多い。小学校の担任は専制君主みたいなもんですから、粗暴とかわがままな担任に当たると、登校が不可能になる。粗暴とかわがままな…

コヘレト

きょうはカトリック尼崎教会で、小川正巳先生のお通夜だった。享年97歳。先生は私の親父と同じ年に生まれた。私の親父は70過ぎに亡くなったが。 小川先生に入れといわれて私が入った文芸同人誌の『たうろす』の同人は、遅れて中尾が来たのみ。中尾によれ…