2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

とちを買いました

私の大学での指導教授は小松勝助というウクライナ文学研究者で、ひどくどもる人だった。『世界名詩大成』(平凡社、1959)に小松先生の訳した「コブザーリ」の全訳が入っている。「コブザーリ」というのは、ウクライナの国民詩人シェフチェンコの代表作で、…

トリクルダウン

アベノミクスの経済政策として有名になった「トリクルダウン」については、すでにドストエフスキーがそのポリフォニー小説に登場する人物の口を借りて、激しく批判させている。 『罪と罰』で、ラスコーリニコフの妹と結婚しようとしていたルージンは、こうい…

日本人のエゴイズム

『京都新聞』(9月18日、朝刊)に内田樹が安保法案について書いていた。日本がアメリカの属国であるとか、属国であるので、安倍首相は先のアメリカ議会で安保法案の成立を約束したのだ・・・というような内田の言葉はその通りと私も思う。私もこのブログで何…

もっとも少なく悪い安保法制

私は先の安保法制をめぐる国会での与党と野党のやりとり、さらに国会を取り巻くデモをテレビで見ながら、この先、日本はどうなるのだろうと不安になった。そのことについて少し書いておこう。 もっとも、安保法制のような問題について述べるときには、まず自…

怒りの根

昨夜、私は歌手の高橋優くんと森山直太朗くんの三人で酒を飲んでいた。 「ほら、あのちょっと色の黒い、目の大きい女の子・・・そうそう、ぼくはあの夏菜さんという女の子が好きなので、NHKの「カバーズ」という番組をいつも見ているんだけど・・・きみがそ…

安保法制

マルクスやフロイトを批判しながら『世界の多様性』という瞑目すべき論文を書いた歴史人口学者、エマニュエル・トッドが、『文藝春秋』(2015年10月号)に、「幻想の大国を恐れるな」という中国論を寄稿しています。 その結論だけを言いますと、いまの中国は…

もっともらしい記事

私は朝日新聞を、字が読めるようになってから、ということは、もう60年くらい読んでいる。しかし、朝日がつくづくイヤになり、他の新聞に乗り換えたことも何度かある。しかし、他の新聞では物足りなくなり、朝日に舞い戻るということを何度かくり返してき…

歴史主義

朝日新聞に再掲載されている漱石の『それから』もそろそろ終わりにさしかかり、わたしはすっかり明治の人間になったつもりで、毎日それを読んでいたのだが、先日、その百六回目を読み、自分が明治の人間ではないことを改めて感じせてくれる一節に出会った。 …