2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

空気

最近の福島の放射能汚染に対する騒ぎを見ていると、昔のPCB汚染騒動やイタイイタイ病のことを思い出す。 PCB汚染騒動では、有吉佐和子が朝日に「複合汚染」という連載小説を書いたり、漁業関係者が風評被害を受けたりしたのを記憶している。ところが、しばら…

無神論者、それも徹底的な

アナーキストの椎名其二については「ドストエフスキー研究者 松尾隆の評伝」でも少し触れたが、椎名は日本が先の戦争中、妻の母国であるフランスにいた。 椎名は石川三四郎や大杉栄の友人だった。椎名はフランスにとって敵国の外国人であったので、収容所に…

永遠の中のゼロ

宇宙の永遠の時間の中で、地球が存在する時間は一瞬というより、かぎりなくゼロに近い。そのかぎりなくゼロに近い地球の時間の中に生を受けた私たちの人生はさらにゼロに近い。人は生まれた瞬間に死ぬのだ。これが私が六歳の頃に知った真実なのである。生ま…

不登校

いじめで不登校になる子供も多いですが、なんとなく学校がいやだ、という不登校児も多い。中でも、先生と合わないというのが多い。小学校の担任は専制君主みたいなもんですから、粗暴とかわがままな担任に当たると、登校が不可能になる。粗暴とかわがままな…

才能

楽譜は手段にすぎないということ。大事なのは、その楽譜によって作られている世界です。世界が先にあって、それを楽譜が写す。そして演奏者が、その世界を再現する。楽譜だけを忠実に再現する演奏はつまらない。また、もとになる世界のない、楽譜だけで作ら…

笑い声 

私が大学を定年で退職したある年の3月31日の午後5時過ぎのこと。研究室の整理も終え、やれやれと思いながら、自転車をゆっくりこいで帰ろうとしていたときのこと。 あと10メートルぐらいで校門というところで、自転車の前を横切ろうとした人を避けよう…

文脈

ある男が詐欺にあった好きな女に「お前はバカだなー」と言うとすれば、この「バカ」というのが「記憶力や理解力が世間一般の人に比べてひどく劣っているととらえられること」(『新明解国語辞典』)という辞書的な意味でないことは明らかだ。しかし、では、…

沢木耕太郎

朝日新聞に掲載されている沢木耕太郎の連載小説「春に散る」。ボクシングの好きな私は切り抜いて愛読している。その330回目。 翔吾という若者が主人公の広岡に、中国から帰化した両親の息子と対戦したときのことを話す。汚いボクシングだった。相手は人生…