2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧
亀山は序文でも「アレクセイ・カラマーゾフ」と訳していたが、本文でもそう訳している。 アレクセイ・カラマーゾフは、この郡の地主フョードル・カラマーゾフの三男として生まれた。父親のフョードルは、今からちょうど十三年前に悲劇的な謎の死をとげ、当時…
あと一年少しで定年なので少しずつ研究室にある本の整理をしているのだが、なかなか片付かない。定年後は病院とか図書館が近くにある賃貸の公団住宅に引っ越し、体力と運と命があれば、スーパーの駐車場などで車の交通整理をしながら余生を過ごすつもりだ。…
【亀山訳5】 これらの問いに答えようにも、わたし自身混乱しているので、ここはいっさい解答なしで済ませることにする。むろん、勘のするどい読者は、そもそものはじまりからわたしがそういう腹づもりであったことをとっくに見抜いて、愚にもつかない御託を…
ドストエフスキーがめざしたもの。ドストエフスキーとリルケは似ている。 ユマニスムから出発するとすべてが実にいやらしい、下品なものになってしまう。これが人間の創造の秘密であり、そこにユマニスムの力の根源が在る。リールケがすべてをささげて戦おう…
「ヤキイモ、ヤキイモ、おいしいなー」 「あんまりがっついたらノドにつめるわよ」 「ぐっ」 「ほら、いわんこっちゃない!はい!水!」 「ぶんぶんぶん」 「え?なに?水じゃないの?」 「んーーー」 「ヤキイモは牛乳派だそうです」 「あーもー、この子は…
【亀山訳4】 もっともわたしは、こんなくそ面白くもない曖昧模糊とした説明にかまけず、序文なしでいきなり話をはじめてもよかったのだ。ひとは気に入れば、最後まできちんと読みとおしてくれるだろうから。 しかし、ここでひとつやっかいなのは、伝記はひ…
「怪物」亀山郁夫 いつからだろうか、背後に「神」を感じることができないような文章に耐えられなくなったのは。小説はもちろん、論文でもそうだ。雑文でも同じだ。私はそのような文章に耐えられない。たとえば、日本語で書く作家で私が繰り返し読むことがで…
「きょうは犬の日で紅茶をサービスしまーす。紅茶の日でもあるし」 「犬の日?」 「11月1日は、ワンワンワンってことでみたい」 「ほー、知らなかったなぁ」 「でも11月11日のほうが、ワンワンワンワンって多くていい気もするが・・・」 「そういえば…
【亀山訳3】 もしもみなさんがこの最後のテーゼに同意せず、「いや、そんなことはない」とか、「かならずしもそうとは限らない」とでも答えてくれるなら、わたしの主人公アレクセイ・カラマーゾフのもつ意義について、わたしとしてはきっと大いに励まされる…
【亀山訳2】 なかでも、最後の問いがもっとも致命的である。というのは、その問いに対して、わたしは次のように答えるしかすべがないからだ。「小説をお読みになれば、おのずからわかることですよ」と──。 しかし、読み終わったあとでもやはり答えが見つか…
以下は亀山訳『カラマーゾフの兄弟』を点検するさいの作業手順。 1)作業はドストエフスキーが区切った一段落ごとに行う(テキストはナウカ版ドストエフスキー全集)。 2)亀山訳を読み、ロシア語原文との違いを点検する。 3)必要があれば、原文を見なが…