ベルクソンの「持続」

渡辺謙の演技論

さっきテレビを点けると、NHKテレビで俳優の渡辺謙が大河ドラマの「独眼竜政宗」を演じたときの経験を語っていた。要するに、そのドラマを演じているとき彼に分かったのは、伊達政宗という歴史的な人物の一生を見渡しながら、ここはこう演技すべきであると計…

小林秀雄の社会学批判

先日、寝転がって、以前読んだことある小林秀雄と江藤淳の対談(『歴史について』、文春文庫、1978、pp.9-75)を読み始めたら、わたしが先のブログ、つまり、「ドストエフスキーの壺の壺――シニフィエはどこにもない」で書いたことと同じことを小林が述べてい…

「ドストエフスキーの壺の壺――シニフィエはどこにもない」

「ドストエフスキーの壺の壺――シニフィエはどこにもない」のリンクを張って欲しいというリクエストがありましたので、リンクを張りました。しかし、スマホでこのリンク先を見ようとしても、なぜか、見ることができません。ご覧になりたい方は、パソコンでご…

『ドーダの人、小林秀雄――わからなさの理由を求めて』

本屋で鹿島茂の『ドーダの人、小林秀雄――わからなさの理由を求めて』(朝日新聞出版、2016)を拾い読みし、次々と変なことが書いてあるので、びっくりし、思わず買ってしまった。 その変なことのなかでもいちばん変なのは、鹿島が、小林の「美しい『花』があ…

リトマス試験紙

「ありのままに生きる――引きこもりとドストエフスキー」(『現代思想』12月号、2021)という短い文章で書いたように、自尊心の病とベルクソンのいう持続は同時に分かる。 というか、自分の自尊心の病に気づかない傲慢な人はベルクソンのいう持続も分からない…

「ドストエフスキーのエレベーター」

拙著「ドストエフスキーのエレベーター」が出ました。お読み頂ければ有り難いです。

川端香男里と伊藤淑子

近々、ドストエフスキー入門書みたいなものを出すので、贈呈したい人の住所を調べていたら、亡くなっている人が多いので驚いた。浦島太郎になったような気分だ。自分では気がつかなかったが、妻の看病に明け暮れするようになって以来、人交わりをする余裕を…

上がらない方法

私たちは人間の活動を通して、その人間を見ている。そこに優劣はない。時間の流れの中で生きている人間に優劣をつけることなどできない。これはベルクソンが『時間と自由』の中で述べていることだ。 しかし、私たちは人間の活動から時間を奪いとり、その活動…

中也の「皺」の理論について

ベルクソンと中也の関係について授業でときどき話をしますが、その話の下敷きになっている拙稿「中也の「皺」の理論について」を読みたいと言われる受講生がおられましたので、pdfファイルにして掲載します。クリックして下さい。拡大すると、少しは読みやす…

「サウルの息子」

きのう四条の「京都シネマ」で、ネメシュ・ラースローの「サウルの息子」というハンガリーの映画を見た。 平凡な感想かもしれないが、私たちが生命(いのち)に出会うためには、どれほど生命ではないものをおびただしく経験しなければならないのかということ…

優等生の愚かさ

すでに「非暴力を実現するために」で述べたことだが、私は小学校に入って、先生のいう「1+1=2」の意味が分からず、ひどく苦しんだ。また質問しても答えてくれる先生もいなかった。先生は呆然とするだけだった。このため、そういう先生に教えてもらう学…

アイヒマン的なるもの

小林秀雄が『満州新聞』に一九三七年から一九四〇年に書いた文章が見つかったというので、その文章が掲載されている雑誌『すばる』(2015年2月号)を購入した。感想から先に言うと、これまで読んできた小林の文章と同じもので、新しい事実は何もなかった。そ…

聞いてほしい 心の叫びを

NHKスペシャル『聞いてほしい 心の叫びを 〜バス放火事件 被害者の34年〜』(初回放送=2014年2月28日(金)午後10時00分〜10時49分:語り=山根基世 朗読=余貴美子)。 最近、再放送があったので見ました。見ていて、昔、不登校や引きこもりの会をやってい…

リルケ

(略)ある農婦の夫は大酒のみで、彼女を虐待し、息子のほうはろくでなしだった。この農婦が自分の運命を語ったときは感動したよ、とリルケは思い返すように言った。こうした苦しみを背負いながらも、彼女は愛情に満ちて、悲しみにやつれてはいなかった。彼…

ドストエフスキーと似非科学(2)

人間の生は一回性しかもたない。従って、フロイトのように、人間の生、とくに心をあたかも機械のようにあつかうのが間違いであることは明らかだ。それはそうなのだが、フロイト理論がすべて間違いかと言えば、そうとも言えないところがある。たとえば、私た…

芸術とは何か

先に述べた「風立ちぬ」の話の続き。 ドストエフスキーとトルストイのどちらがいいか、とか、ベートーベンとバッハのどちらがいいか、とか、朔太郎と中也のどちらがいいか、とか、ゴッホとマチスのどちらがいいか・・・というような質問は愚問に他ならない。…

天皇と小林秀雄

昨夜、寝つかれないまま、小林秀雄講演第一巻「文学の雑感」(新潮社)というCDを聴いていたら、その昭和45年の講演のあと、小林に「天皇とどう付き合えばいいのか」と問う男性がいた。その質問に対して小林は、「そんな抽象的な質問をしてはだめだ。天皇…