2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

天分

高校生の頃、アドリブ教則本みたいなものを何冊か買いこんで一年ほどトランペットでアドリブの練習をしたけど、ダメだった。クリフォード・ブラウンの偉大さがよく分かった。理屈でアドリブはできない。文章も同じだ。文章読本みたいなものをいくら読んでも…

武田泰淳と古井由吉

武田が古井に「(演歌を)自分で歌いますか」と訊くと、古井が「歌います」と答える。すると、武田が「うん、それは話しやすい」という(『生きることの地獄と極楽――武田泰淳対話集)』(勁草書房、1977、p.96)。ドストエフスキーだって、日本人だったら演…

いやな人には会わない

いやな人には会わない。いやな人に会うと、必ずグロテスクなことになる。たとえば、わたしはその人に会っている不快さに耐えることができなくなり、アルコールを浴びるように飲み、こちらの精神が崩壊して乱暴狼藉を働くとか、罵声をその人に浴びせるとか・…

書かなければならない本当に大切なこと

微熱があるので何をする気にもならず、しかし、洗濯と掃除だけはしなければならないので、朝のうちにやり終え、あとはうつらうつらしながら、昨日受講生の方からいただいた『共助』(基督教共助会出版部)の「森有正追悼号」(1977年2月号)などの複写を読ん…

赤木ファイルの公開

アイヒマンはどこにもいる。あなたもわたしもアイヒマンである。ひとりのアイヒマンを首縊りの木に吊しても、二人のアイヒマンをこの世界から追放しても、三人のアイヒマンに罵声を浴びせても、あなたやわたしがアイヒマンでなくなるわけではない。もうすぐ…

ギター歴

「なぜギターを弾き始めたのですか」と、昔、よく訊かれた。あまりにも頻繁に尋ねられるのでうんざりして、そういうときは決まったように、「そりゃ、女にもてたかったからですよ」と答えることにしていた。そう言うと、相手は、じっとわたしの眼を見て、う…

川端香男里と伊藤淑子

近々、ドストエフスキー入門書みたいなものを出すので、贈呈したい人の住所を調べていたら、亡くなっている人が多いので驚いた。浦島太郎になったような気分だ。自分では気がつかなかったが、妻の看病に明け暮れするようになって以来、人交わりをする余裕を…