徒党

インテリ

「物語の暴力」について。 不良僧の穴山に、泰淳とおぼしきインテリの柳は、「お前さんなんか『赤』にでもならなきゃ、世の中のことはサッパリわからんのだから、なりたけりゃ、おなりなさい」と言われる(武田泰淳、『快楽』)。世の中を知りたいインテリが…

統一教会

いつも行くプールのあるビルの下で元総理の安倍晋三氏が山上某によって射殺された。精神鑑定すべきは山上ではなく、統一教会から利益を得ていた国会議員だ。正気であれば誰でもそう思うはずだ。

赤木ファイルの公開

アイヒマンはどこにもいる。あなたもわたしもアイヒマンである。ひとりのアイヒマンを首縊りの木に吊しても、二人のアイヒマンをこの世界から追放しても、三人のアイヒマンに罵声を浴びせても、あなたやわたしがアイヒマンでなくなるわけではない。もうすぐ…

イラ菅

菅直人は「イラ菅」と呼ばれていたが、彼が苛立っていたのは、わたしのいう「アイヒマン的なるもの」のためだった。彼のその苛立ちは正しかった。その正しさが分からない、あるいは分かりたくない人だけが、彼を「イラ菅」と呼んだ。

読売新聞と産経新聞の誤報

ようやく菅直人の率直な声が聞けた。読売・産経の嘘つき(と、体言止めで書きたくなる)。 菅:・・・というのも、東電は事故が起きてから最初の24時間のテレビ会議の記録を、いまだに公表していないんです。かなりの混乱があり、とても、おもてには出せない…

朝日新聞という病

門田隆将の『新聞という病』という本がよく売れているそうだが、私のこの文章はそれとは関係がない、というか、たぶん根っこのところではつながっているのだろうが、さしあたり、直接、関係はない。 朝日新聞は私がものごろころついた頃から、私のまわりにあ…

不登校と医療

昔、大阪で「不登校と医療を考える」というシンポジウムを開いた。精神科医の石川憲彦、川端利彦、門真一郎、それと東京シューレの奥地圭子の四人にしゃべってもらった。とても有益な内容のシンポジウムになった。不登校児が精神科医にかかるさいの参考にな…

豊洲移転問題

わたしはいまマスコミが騒ぎ立てている豊洲移転問題(注)そのものに興味はない。豊洲への移転は安全の面から言って、何の問題もない。わたしにとって興味があるのは、移転して何の問題もない豊洲市場について、なぜ小池都知事やマスコミが問題にしているの…

物語の暴力 

最近の理研によるSTAP細胞論文の捏造、朝日新聞による吉田調書の誤読、朝日新聞による慰安婦報道の訂正、さらに産経・読売による菅総理の原発事故対応に対する誤報、さらに、さまざまな冤罪事件などを見ていると、やはり、私のいう「物語の暴力」、つまり思…

馬鹿になる方法 

そろそろ身辺を整理しておかなくてはと思い、最近、雑誌類をつめたダンボール箱を覗きながら雑誌をめくっていると、こういう文章に出遭った。 「毎朝、毎晩、ああいふものを読んでゐたのでは精神衛生上、頗る有害である。予防医学的見地から言へば、新聞と称…

空気

最近の福島の放射能汚染に対する騒ぎを見ていると、昔のPCB汚染騒動やイタイイタイ病のことを思い出す。 PCB汚染騒動では、有吉佐和子が朝日に「複合汚染」という連載小説を書いたり、漁業関係者が風評被害を受けたりしたのを記憶している。ところが、しばら…

文脈

ある男が詐欺にあった好きな女に「お前はバカだなー」と言うとすれば、この「バカ」というのが「記憶力や理解力が世間一般の人に比べてひどく劣っているととらえられること」(『新明解国語辞典』)という辞書的な意味でないことは明らかだ。しかし、では、…

文は人なり

私は誰かが賞賛されているのを読むのは好きだが、新聞の書評のように、書いたのが仲間だから、あるいは、出版社から頼まれたから褒めている、というような文章は読みたくない。若い頃は、私もそういう太鼓もち仲間だと思われたのか、そういうやり取りをして…

倉本聰

先月、BS-TBSの「みんな子どもだった」で、いつもは進行役の倉本聰自身がゲストになって喋った。その四回目、倉本がNHKの大河ドラマ「勝海舟」の脚本を放棄するに至る経緯を語っているのを聞いて、少し驚いた。 倉本が言うには、NHKは組合の力が強く、スタッ…

何を読むか(4)

『人生、しょせん運不運』(古山高麗雄) このシリーズの初回で、「私は古山高麗雄の脱力した文章が好きだ」と述べたが、古山はいつもいつも脱力していたわけではない。やはり人間なので、腹の立つこともある。そういうときは、全身に力が入ったようだ。とく…

『沖縄ノート』1

私が学生の頃読んだ大江健三郎の『沖縄ノート』(岩波新書)。当時は大江の記述をそのまま信じ、軍部というのはひどいことをするものだと思っていた。 ところが、後年、当時の座間味島での日本軍指揮官梅澤裕氏と渡嘉敷島での指揮官赤松嘉次の弟である赤松秀…

再び徒党について 

私が子供の頃は学習塾というようなものはなく、小学校から帰ってくると、鞄を家の中に放り出し、外で遊んだ。遊ぶところはいくらでもあった。山に行ったり川に行ったり、池に行ったり神社に行ったり・・・という風に、遊べるところではどこでも遊んだ。遊ぶ…

「最初の人間」

今週の水曜日、四条の京都シネマで「白夜」(ドストエフスキー原作、ロベール・ブレッソン監督)と「最初の人間」(カミュ原作、ジャンニ・アメリオ監督)を続けて(午後1時15分から5時まで)見ることができた。カミュはドストエフスキーの弟子を自認し…

昭和天皇が亡くなる直前のマスコミと菅包囲網

このブログはある理由のため、しばらく休むつもりでいたのだが、朝日新聞の秋山惣一郎記者の菅批判があまりにも狂った代物だったので、黙っていることが不可能になり、思わずその菅批判について書いてしまった。書いてしまうと、もはや菅擁護の気持は押さえ…

金光翔への集合暴力(1)

前回「コップの中の嵐」で、次のように述べた。 言うまでもないことだが、長瀬が私に対して集団で行おうとしたことこそ、ジラールが繰り返し論じている模倣の欲望による集合暴力なのである。自分の自尊心に気づいていない集団の成員が、結局そのため、模倣の…

コップの中の嵐

長瀬隆からの返信を一ヶ月待っているが、来ないので、この文章を書く。ドストエフスキーに関心のない人にはつまらないコップの中の嵐だろう。しかし、ジラールのいう模倣の欲望を明らかにしている話だと思うので、ドストエフスキーやジラールに興味のある人…

緊急順不同

もうすぐ定年なので研究室にある本を整理しているということは前に書いたが、昨日も授業のあいまに整理していると、中野重治の本がかなり出てきた。さあ、これをどうするか、と、首をひねりながら、未練がましく撫でさすっていると、三十年前の記憶がよみが…

ないものねだり 

私は「徒党」を憎む。なぜなら、徒党を組むとは、丸山真男(『日本の思想』、岩波新書)のいう「タコツボ」に入り、山本七平のいう「集団倫理と状況倫理」(『「空気」の研究』、文春文庫、1983、pp.107-114)に与することであるからだ。そこには自由も責任…

南京映画祭

昨日、南京映画祭(エル・大阪)に行く。日曜日にも拘わらず大学で会議があったので、映画「南京─引き裂かれた記憶」の最初の30分を見ることができなかった。そのあと、「南京─引き裂かれた記憶」の取材・企画・制作の松岡環と武田倫和と、映画「靖国 YASU…

軍隊に入ると・・・

裸の大将こと、山下清は「ぼくの絵は、兵隊さんの位でいうと、ど、どれくらいかな」という風に、絵でも何でも兵隊の位にたとえて言おうとしたらしいが、私もそう変わらない。と、言っても、絵ではなく、初めて会う人がいると、「この人は軍隊に入ると、どん…

天皇と小林秀雄

昨夜、寝つかれないまま、小林秀雄講演第一巻「文学の雑感」(新潮社)というCDを聴いていたら、その昭和45年の講演のあと、小林に「天皇とどう付き合えばいいのか」と問う男性がいた。その質問に対して小林は、「そんな抽象的な質問をしてはだめだ。天皇…