2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「一度生まれ」の詩人?

ウィリアム・ジェイムズの『宗教的経験の諸相(上)(下)』(枡田啓三郎訳、岩波文庫、1969-1970)というのは、宗教的回心を心理学者の立場から論じた本で、私はこれを学生の頃からくり返し読んできた。で、原書はいつ出版されたのかと思い返してみると、す…

団塊の世代と戦争後遺症

私はこれまで何回か、面と向かって、 「どうして団塊の世代の人にはバカが多いんでしょうね?」 という意味の言葉を投げかけられたことがある。そう言うのは、きまって、私より一回りぐらい若い世代の男性だ。きっと団塊の世代にひどい目にあったのだろう。…

中沢新一と亀山郁夫(3)

これまで見てきたように、中沢新一や亀山郁夫にモラルがないことは明らかだろう。彼らは『地下室の手記』の主人公と同様、自分の欲望を満たすためなら、どんなことでもするだろう。 なぜ彼らはそのような人間なのか。それは彼らに宗教がないからだ。ここで私…

中沢新一と亀山郁夫(2)

「中沢新一と亀山郁夫(1)」で私は「中沢は自分が麻原の共犯者でないことを証明するため、正視できないほどの醜態をさらした」と書いた。それはたとえば、有田芳生が以前、自分のブログで書いていた次のような事態を指している。 地下鉄サリン事件が起きた…

中沢新一と亀山郁夫(1)

中沢新一と亀山郁夫はよく似ている。そう思ったのは、亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』(みすず書房、2005)を読んだときだ。亀山のロシア革命を嘲弄した『熱狂とユーフォリア』を読んだとき、すでにそう思ったが、『『悪霊』神になりたかった男』…

ラニョー

「優等生の愚かさ」で述べたように、優等生というものは自分の頭で考えようとはしない。それは、自分の頭で考えていると効率が悪いからだ。効率が悪いとはどういうことか。 それは、正しいかどうか分からないが、ともかく、先生が正しいと言っているのだから…

優等生の愚かさ

すでに「非暴力を実現するために」で述べたことだが、私は小学校に入って、先生のいう「1+1=2」の意味が分からず、ひどく苦しんだ。また質問しても答えてくれる先生もいなかった。先生は呆然とするだけだった。このため、そういう先生に教えてもらう学…

酒鬼薔薇聖斗

朝日新聞の記事で今月号の『文藝春秋』にいわゆる酒鬼薔薇聖斗事件に関する神戸家裁の少年審判決定全文が掲載されているのを知り、その『文藝春秋』を読んだ。期待通り、そこには少年A(自称「酒鬼薔薇聖斗」)の成育歴がかなり詳しく記されていた。この成育…

倍賞千恵子

なぜか私は倍賞千恵子という存在が好きで、若い頃から、彼女の出る映画はできるだけ見るようにしてきた。 きょう、テレビをつけると、偶然、すでにしわくちゃになった倍賞氏が岩崎宏美と並んで森繁久弥の「オホーツクの舟歌」を歌っていた。その姿を見て、思…

勝ちたい心

以前、レヴィナス研究者の内田樹氏に、私も参加しているある研究会で話して頂いた。でも、その話の内容は全部忘れた。ただ、今も記憶しているのは、話がおわったあとの雑談で氏が言った、 「私は知り合いになるとまずいことになる人が分かる。だから、そうい…

『硝子障子のシルエット』

島尾敏雄の作品はすべて好きだが、若い頃、人に「読め読め」としつこくすすめていたのが、掌編小説集 『硝子障子のシルエット』である。これは庄野潤三がラジオ局に勤めていたとき、島尾に依頼して書かせた朗読用の作品だ。 この作品を私は文学の授業でしば…

倉本聰

先月、BS-TBSの「みんな子どもだった」で、いつもは進行役の倉本聰自身がゲストになって喋った。その四回目、倉本がNHKの大河ドラマ「勝海舟」の脚本を放棄するに至る経緯を語っているのを聞いて、少し驚いた。 倉本が言うには、NHKは組合の力が強く、スタッ…

古館伊知郎とプロレス的構造

子供の頃はプロレスが好きで、とくに、力道山や東富士が好きだった。家にテレビがないので、近所の金持の家に上がりこんで見せてもらった。その状態がずっと続き、家にテレビが来てからもプロレスは見続けた。しかし、あるとき、誰かから「プロレスというの…