小津安二郎事件

 (なぜか投稿が消えてしまったので再投稿します。「きのうの授業」というのは13日の授業のことです。)
 忘れないうちにメモをしておきますが、きのうの授業のあと、ある人からわたしが授業で、小津安二郎の映画を否定的に扱ったと言われ、驚きました。わたしとしては否定的に扱ったつもりはなく、土壌主義を説明するために、自尊心の病の例として、土壌主義的な小津の映画を否定する人々のことを述べたのでした。自尊心の病に憑かれた人々はしばしば、自分の民族が伝えてきた伝統を古くさいものとして否定し、新しいもの、つまり、西欧近代のものを求めます。その例として挙げたのです。小津は生前、批評家たちから「古くさい」と言って批判されました。その批判が肯定に変わるのは、小津の死後、欧米の批評家たちから小津の映画が賞賛されるようになったからです。これは黒澤明溝口健二の映画が欧米で評価されるようになって初めて日本でも評価されるようになったのと同じ現象です。このような小津の評価にも自尊心の病に憑かれた人々の行動パターンが見られます。