2022-01-01から1年間の記事一覧

インテリ

「物語の暴力」について。 不良僧の穴山に、泰淳とおぼしきインテリの柳は、「お前さんなんか『赤』にでもならなきゃ、世の中のことはサッパリわからんのだから、なりたけりゃ、おなりなさい」と言われる(武田泰淳、『快楽』)。世の中を知りたいインテリが…

訂正

以前書いた「神聖不可侵なもの」について、野口剛夫氏から自分の書いたものではない文が引用されているというご指摘を頂いたので、訂正しました。深くお詫びします。なぜそんなことになったのか。自分でもそうなった理由が分かりませんが、いずれにせよ、申…

書けることと書けないこと

一読し、著者に深い尊敬の念を抱きました。このようなことについては、書けることと書けないことがある。著者はその書けないことの限界まで書かれていると思います。ここに書かれているのは、いわゆる「共依存」には違いないのですが、その共依存から身をも…

講座「ドストエフスキーとベルクソン」の募集

23年度の講座「ドストエフスキーとベルクソン」の募集を開始します 拙著『ドストエフスキーのエレベーター――自尊心の病について』で、わたしはドストエフスキー論を、ベルクソンのいう「持続」とわたしのいう「自尊心の病」を軸にしながら述べています。 …

講座「ドストエフスキーを読む」

23年度の講座「ドストエフスキーを読む」の募集を開始します。 今年度はドストエフスキーの『白痴』を読んでゆきます。 授業は受講生との対話によって進行させたいと思います。 授業の内容について質問用紙を配布します。受講生は自宅でそれに書き込み、次…

国葬

このたびの統一教会騒ぎを見ていて思い出したのは、小澤征爾のことだった。昔読んだことなので記憶はあいまいだが、たしか、次のようなことだったと思う。小澤はヨーロッパで音楽修行をしていたとき、ある朝鮮半島出身の音楽家と友人になった。親切心からい…

統一教会

いつも行くプールのあるビルの下で元総理の安倍晋三氏が山上某によって射殺された。精神鑑定すべきは山上ではなく、統一教会から利益を得ていた国会議員だ。正気であれば誰でもそう思うはずだ。

タコツボ

昔、木下豊房とともに亀山郁夫のスタヴローギン論や『カラマーゾフの兄弟』の翻訳についてロシア文学会あてに亀山との公開討論を申し込んだ。しばらくすると、討論会をしましょうという返事がロシア文学会から来たのだが、直前になって、木下豊房から討論会…

ウクライナ文学者・小松勝助

いつだったか、ずいぶん昔、東大(いや、筑波大学だったか?)に留学しているウクライナ人の女性から小松勝助のことを教えてくれというメールが来た。なんでも小松勝助のことをウクライナの百科事典に載せたいから調べているということだった。わたしは小松…

文は人なり

或るとき、と言っても、わたしがずいぶん若い頃だが、トルストイやドストエフスキーの翻訳をしていた工藤精一郎氏から「これを読め」と言って、一冊のソ連の文学雑誌(『文学の諸問題』だったか?)を渡された。そこにはショーロホフが盗作作家だということ…

盗作作家二人

あの世に行ってしまったカミさん、その母親が富山の人で、神戸の地震のあと、彼女の住んでいたアパートが壊れたので引き取って一緒に住んでいた。その人が自分の知っていた堀田善衛のことをいろいろ言うので、わたしは「ああ、良い人なんだな」などと思って…

歴史は繰り返す、あるいは、保守反動は繰り返す

今のロシアを見ていて痛感するのは、ソ連がロシアになって少しは変わるのだろうと期待していたわたしが愚かだったということだ。「ドストエフスキーとニーチェ」で書いたように、ロシアのようなルネサンスを経ていない民族はいつまでも保守反動のままだ。じ…

リトマス試験紙

「ありのままに生きる――引きこもりとドストエフスキー」(『現代思想』12月号、2021)という短い文章で書いたように、自尊心の病とベルクソンのいう持続は同時に分かる。 というか、自分の自尊心の病に気づかない傲慢な人はベルクソンのいう持続も分からない…

越知保夫について

わたしの愛読していた小説家の西村賢太が急死し、その追悼文をロック歌手兼小説家の町田康が書いていたのを書店で立ち読みし(「西村賢太さんの文章」、『群像』四月号所収、2022、pp.147-149)心を打たれたので買い求めた。これから町田康の小説を読みたい…

「ドストエフスキーを読む」講座について

「ドストエフスキーを読む」講座について言い忘れていたことがありますので、追記します。 昨年度も『罪と罰』(新潮文庫、工藤精一郎訳)について述べましたが、今年も『罪と罰』(ただし、岩波文庫、江川卓訳)について述べます。こんなことをするのは、わ…

鈴木大介と武満徹

最近、本棚の整理をしていると、『武満徹全集』(小学館)がセロファン紙に包まれた新品の状態で出てきたのでひどく驚いた。 五年ほど亡き妻の看病に明け暮れているうちに買ったことさえ忘れていたということだろう。たしか、全三巻だったはずだが、なぜか第…

「ドストエフスキーとベルクソン」講座の開講について

ドストエフスキーの講座とは別に、奈良でベルクソンの講座を少人数で開催します。 詳しくは次をご覧下さい。 ---------------- 「ドストエフスキーとベルクソン」開講のご案内 最近出版した『ドストエフスキーのエレベーター――自尊心の病について』という拙…

「ドストエフスキーを読む」講座の開講について

拝啓 風薫るさわやかな季節となりましたが、皆様方におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。 さて、このたび新しく「ドストエフスキーを読む」講座を開講する次第となりましたので、ご案内申し上げます。 今年度はドストエフスキーの『罪と罰…

プーチンは狂人ではない

プーチンのウクライナ侵攻が始まったので、邦訳された、以前読んだことのあるアンナ・ポリトコフスカヤの本(『プーチニズム――報道されないロシアの現実』と『ロシアン・ダイアリー――暗殺された女性記者の取材手帳』)を再読した。アンナ・ポリトコフスカヤ…

ウクライナ

プーチンがウクライナに攻めこんだので、連日、メディアではそのニュースがあふれている。わたしは学生の頃、ウクライナ文学の専門家だった小松先生からいかにロシアがウクライナにひどいことをしてきたのかということを聞かされてきたので、ウクライナの人…

さらに『ドストエフスキーのエレベーター――自尊心の病について』の誤植と誤記を修正します

誤植と誤記を修正します。

野いちご

ベルイマンの映画『野いちご』で、主人公の老教授イサクは或る詩を口ずさみはじめるが、途中で詩の文句を忘れる。すると、彼を囲んでいた行きずりの若者たちがその詩を続ける。その詩は或る人のブログ(https://yojiseki.exblog.jp/11966306/)によれば、こ…