不登校と医療

昔、大阪で「不登校と医療を考える」というシンポジウムを開いた。精神科医の石川憲彦、川端利彦、門真一郎、それと東京シューレ奥地圭子の四人にしゃべってもらった。とても有益な内容のシンポジウムになった。不登校児が精神科医にかかるさいの参考になると思って、シンポジウムの記録を本にしようとしたところ(出版社も決まっていた)、わたしは不登校の子供をもつ親たちからいっせいに批判された。要するに、「そんな本を出したら、うちの子が精神病患者だと言われるからダメ」ということであった。これは明らかに精神病患者に対する差別ではないか。ことここにいたってまだ優越感にひたりたいのか。わたしはあきれて、というか、うんざりして、長年やってきた「学校に行かない子と親の会」の運営から手をひいた。そして、このままでは怒りで頭がおかしくなると思って、大阪から和歌山の龍神村に引っ越した。しかし、いくら経っても、怒りは収まらなかった。今も怒りが込み上げてくる瞬間がある。自分の虚栄心あるいは自尊心にあやつられている人には何を言っても無駄なのである。最近はそんな人ばかりになったような気がする。