2018-01-01から1年間の記事一覧

翁長さんの死

翁長さんは理性では日米安保条約はしかたがないと思っていたが、無意識の部分で日本の本土の人間を許すことができなかったということだろう。このため、途中で態度を変えた。これは韓国の人々にも言えることだ。彼らも従軍慰安婦問題で日本との約束を反故に…

私生児

きのうカミさんを病院に送っていった帰り、図書館で借りた高見恭子が朗読する高見順の「私生児」を車の中で聞いた。胸に迫って涙がぼろぼろこぼれてきたので、あわてて車を停めて泣いた。「私生児」というのは高見の私小説である。高見恭子は高見の娘である…

マスタベーション

きのう医者に行って、待合室に置いてあった「婦人公論」をめくっていると――その医院には子供向けの絵本か女性向けの雑誌しか置いてないのである――伊藤比呂美が同年輩の女性たちと、自分は「超高齢者」の夫を亡くしたあと、世話する相手がいないので欲求不満…

早坂暁

早坂暁の追悼番組のひとつである「新・事件 わが歌は花いちもんめ」の録画を、きのう、ようやく見ることができた。今から三十数年前に放送されたものだ。足が動かなくなった七十一歳の老婆(鈴木光枝)――今なら老婆と言わない――が、嫁の手助けで入水自殺する…

ソンタク

人は自分で自分のふるまいを見ることはできない。したがって、日本人は永遠に「ソンタク」とは何かということを定義することはできない。「ソンタク」とはまさに日本的構造であり、それは日本人の行動全体を規定している。「ソンタク」という言葉を言い換え…

暴力の起源

思考において、文脈というのはもっとも重要なものだ。文脈を無視した思考は暴力にすぎない。国会中継やテレビ・新聞などを見ていると、マスコミ(左右を問わず)や国会議員(与野党を問わず)には、文脈を無視して自分に都合のよい方向に話をねじまげてゆく…

不登校と医療

昔、大阪で「不登校と医療を考える」というシンポジウムを開いた。精神科医の石川憲彦、川端利彦、門真一郎、それと東京シューレの奥地圭子の四人にしゃべってもらった。とても有益な内容のシンポジウムになった。不登校児が精神科医にかかるさいの参考にな…

アンケート結果

公開講座のアンケート結果が送られてきました。『未成年』は読むのに難儀するので(また誤訳も多いので)、評判はよくないと思っていましたが、案外良かったので安心しました。来年度も続ける元気が出ました。マイクの音が小さいという苦情が二人からあった…

オーソレミオ

某日、かみさんを病院に送っていくとき、前の幌付きのトラックの幌に雪が積もっていた。渋滞していたので、その後ろをずっと走っていると、雪がフロントガラスにかかって前が見えなくなった。ワイパーをかけた。奈良ナンバーのトラックだったが、奈良に大雪…

アルマーニの制服

これは人のワルクチである。気分が悪いが、言わなければなるまい。 銀座の泰明小学校の校長が生徒にアルマーニの制服を四月から着せるそうだ。「ヴィジュアル・アイデンティティ」とかいうわけのわからんものを生徒に身につけさせたいということだ。要するに…

絶望

西部邁ではないが、日本など滅びてしまえばいい、と思う今日このごろである。その西部でさえ、自尊心の病に憑かれていた。吉本隆明も同じ。辺見庸も同じ。絶望するしかない。しかし、徹底的な絶望から希望が生まれるというのも本当のことだ。

西部邁の死

西部邁が亡くなった。西部邁は自尊心の病から脱け出したのだろうか。どうもそんな風には思われない。最後まで気にくわないやつを罵っていた。若い頃から西部を尊敬していたので、きわめて残念なのである。

イントレランス

ある人が思想的に右、あるいは左、あるいは中道であっても、それはその人の思想なので、私が批判することではありません。しかし、その人が自分の自尊心の病に気づいていないとき、そういう思想は、きわめて危険なものになると思います。なぜなら、自らの自…

ある質問について

昨日の講座のあと、自尊心の病に憑かれている人は、何故、模倣の欲望に憑かれるのですか、という質問を受けました。それについては昨日配布した「解答と回答(16)」のp.13の下から8行目以降、さらにp.15の11行目以降(ペテロはなぜ泣いたのか・・…

先日、多田智満子の夢を見た。どんな夢だったか、忘れた。にこにこ笑いながら、何か喋っていた。ところが、その朝、かみさんが「昨夜、3時頃、変な夢を見た」という。「どんな夢でしたか」と訊いても、じっと考えているだけだ。「変な夢」と言うだけだ。念…

小津安二郎事件

(なぜか投稿が消えてしまったので再投稿します。「きのうの授業」というのは13日の授業のことです。) 忘れないうちにメモをしておきますが、きのうの授業のあと、ある人からわたしが授業で、小津安二郎の映画を否定的に扱ったと言われ、驚きました。わた…

自尊心の病

受講生の方には、わたしのいう「自尊心の病」というのが分かりにくいみたいですね。もう何十年も教えてきて、今回の「小津安二郎事件(?)」のようなことは無数にありましたし、これからもあるでしょう。人間中心主義の受講生にはとても分かりにくいようです。…