疑惑

盗作作家二人

あの世に行ってしまったカミさん、その母親が富山の人で、神戸の地震のあと、彼女の住んでいたアパートが壊れたので引き取って一緒に住んでいた。その人が自分の知っていた堀田善衛のことをいろいろ言うので、わたしは「ああ、良い人なんだな」などと思って…

共通感覚

亀山郁夫の『磔のロシア──スターリンと芸術家たち』は共通感覚というものを無視した妄想に満ちた悪書だが、これが2002年度の大佛次郎賞(朝日新聞)をもらったのには驚いたものである。そのことについては、すでに「はてなダイアリー」で述べた。しかし…

内村剛介

わたしは内村剛介の書いたものをわりあいよく読んできたほうだと思う。ソ連の収容所などに関して、知らないことをいろいろと教えてもらった。これは感謝している。 しかし、あるときから、内村剛介は詐欺師と言ってもいい人ではないのか、と疑うようになった…

「謎とき」シリーズがダメな理由(3)

離人症患者なのに この連載の第一回で「森はソシュール言語学の正しさを一生を棒に振って証明しただけだ」と述べた。ソシュールの言語学によれば、というか、死産児ではなく、常識が損なわれていないとすれば誰でも分かることだが、われわれが言語の壁を越え…

「謎とき」シリーズがダメな理由(1)

はじめに 鬼束ちひろの「月光」という歌は、こんな風に始まる。 I am GOD'S CHILD(私は神の子供) この腐敗した世界に堕とされた How do I live on such a field?(こんな場所でどうやって生きろと言うの?) こんなもののために生まれたんじゃない (『や…

カナリアとしてのドストエフスキー論

これまで亀山郁夫のドストエフスキーの翻訳やドストエフスキー論を読んできて痛感したのは、「いくらなんでもここまではしないだろう」という一線を亀山が平気で踏みこえてしまっているということだ。たとえば、亀山による『悪霊』のマトリョーシャ解釈や『…

冷たい熱帯魚

横板さんが書かれていた映画「冷たい熱帯魚」をようやく見ることができた(「シネ・リーブル梅田」)。観客は10名ぐらいか。平日の最終回だが、それにしても少ない。 つまらない映画だった。原作の「愛犬家連続殺人」(志摩永幸著)を読んでいたためかもし…

蜷川譲の疑問

『敗戦直後の祝祭日 回想の松尾隆』(蜷川譲、藤原書店、1998)については「ドストエフスキー研究者 松尾隆の評伝」で紹介した。その本の著者蜷川譲は長瀬隆に対して次のように述べている。このブログでは傍点を打てないので、蜷川による傍点部は太字にする…