書けることと書けないこと

一読し、著者に深い尊敬の念を抱きました。
このようなことについては、書けることと書けないことがある。
著者はその書けないことの限界まで書かれていると思います。
ここに書かれているのは、いわゆる「共依存」には違いないのですが、その共依存から身をもぎ離すとき、わたしたちはその共依存の相手とともに死んでもかまわないと思う。そのような感情がこの本では正確に書かれていると思いました。
それから読後、いちばん記憶に残ったのは、やはりこの国の精神障害者に対する差別意識のことでした(本書、p.81)。ほんとうに日本人は心が狭い。これは日本人だけのことではないのでしょうが、それにしても狭すぎる。

Amazonの書評:『妻はサバイバー』(永田豊隆、朝日新聞出版、2022)