盗作作家二人

あの世に行ってしまったカミさん、その母親が富山の人で、神戸の地震のあと、彼女の住んでいたアパートが壊れたので引き取って一緒に住んでいた。その人が自分の知っていた堀田善衛のことをいろいろ言うので、わたしは「ああ、良い人なんだな」などと思って、何度か彼の小説を読もうとした。しかし、不愉快になり、いつも途中で読むのをやめた。堀田善衛はどうも見栄っ張りの人であるようだ、と思い、君子危うきに近寄らずということで、わたしは君子ではないのに、遠ざけていたのだが、あるとき、堀田の盗作癖のことを知り、じつにひどいものだと思い、ますます堀田から遠ざかった。見栄っ張りではなさそうなのに、平気で盗作をする人もいる。そういう人の一人に井伏鱒二がいるが、そのことについては書いたホラ吹きの内村剛介の『見るべきほどのことは見つ』(p.94)でもそのことについて触れられている。人は見かけによらないものだ。