先日、多田智満子の夢を見た。どんな夢だったか、忘れた。にこにこ笑いながら、何か喋っていた。ところが、その朝、かみさんが「昨夜、3時頃、変な夢を見た」という。「どんな夢でしたか」と訊いても、じっと考えているだけだ。「変な夢」と言うだけだ。念のため言うが、多田さんをわたしは尊敬していただけなのである。昔、同人誌の連中とお遊びで連歌をしたとき、わたしは多田さんの言葉を紡ぎ出す才能に驚くばかりだった。詩人とはこういうものだと思った。と、かみさんに言おうと思ったが、それも変なことなので何も言わなかった。わたしはまもなくあの世に行くのだろうか。