「カティンの森」

ワイダの「カティンの森」を見た(シネ・リーブル梅田)。何度も見たいと思った。ワイダの最高傑作だろう。これは言葉の真の意味で「女性映画」だ。出てくるポーランド女性がすべて美しく清潔で強靱だ。女性だけが持つ強靱さが鮮明に描かれていると思った。ワイダは自分の女性観をこの映画で正確に述べようとしたのだろう。何度も見たいと思ったけれど、見たその夜は眠れなかった。神戸の地震のことを思い出したこともあるのだろうが。テレビが神戸の地震の画像を繰り返し流していた。急いでチャンネルを変える。そんな番組を作るテレビ制作者よ、くたばれ。テレビの制作者にワイダみたいになってくれとは言わないが、せめて一歩でもワイダに近づいてほしい。森山未來の出た番組だけが救いだった。森山未來だけだ。テレビに出る人間でまともなのは。

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と書いたが、どうも極端なことを書いたようだ。私が言いたかったのは、当事者にしか分からない悲しみがあるということだ。そのことに鈍感な人が多すぎる。特にメディアの人間には。分からないことについては沈黙する勇気を持たなければならない。森山未來にはその勇気が自然に備わっているように感じた。共演した佐藤江梨子にも同じような感じを持った。何というドラマだったか?そのNHKのドラマ自体はつまらないものだった。凡庸な脚本だった。しかし、誰でも地震をテーマに脚本を書けと言われたら困るだろうな。(2010/1/31)