パターナリズム

 佐藤愛子は正しい。
 優しさというのは人間をダメにする。相手の気持を推し量って、先回りして・・・というのは、バカのすることである。こういうのを英語ではパターナリズム(paternalism)という。パターナリズムは相手を自分の思うままに振り回そうとする暴力なのだ。そのことに気づかない人が多い。そういう人は自分が善人だと思っている。善人ほど困ったものはない。
 昔、不登校とか引きこもりの子供をもつ親の会をやっていたとき、パターナリズムをやると子供が自立できなくなる、と、何度も何度も言った。でも、いくら言っても分からない親が大半だった。「そんなんしたら、子供が死にます」「子供が死んだら、責任とってもらえますか」。バカか。そういう子供は死んだ方がよろしい、とは、よう言わんかったが、腹の中ではそう思っていた。人間は放っておくのがいちばん良いのである。放っておいたら、自分で何とかする。何ともならないと親に相談をもちかける。そのとき初めて、相談に乗ればいいのである。それを先回りして、親が「どうなの、どうなの?」とやるから、子供がふぬけになるのである。

だいたい親って理不尽なものなんですよ! 叱ったり、命令したり、それによって子供は鍛えられてきたんです。世の中は理不尽で満ち満ちてる訳ですよね。だけど今の親は理不尽じゃないから、子供が、弱い人間になってしまうんだと思います。(佐藤愛子

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