マンディアルグ

 少し前の公開講座のあとの飲み会(高架下の飲み屋)で、なぜか学生時代(いや、違うか)に愛読していたマンディアルグのことを思いだして、しょーもないことをああだこうだと話していたとき、何の拍子でか、なぜかマンディアルグの短篇「満潮」を思いだし、ああ、あれ映画になってて、見たけど、とても良くて、そら、あの「血の高原地帯」云々という詩がありますね(えーと誰の詩だったか、そらフランス人の、そら・・・と、酔って、うーん、うーん、と、うなり)、まあ、ああいう感じの映画で、潮が満ちてくるにつれて、ずーっとこう感情が高まり(大きな声では言えないが、もちろん性的感情が)、それがずーと続く。そういう映画でしたが、あれは何という映画だったか・・・忘れた。
 と、赤い顔をして黙っていると(恥ずかしくて赤くなったのだが、酒を飲んで赤くなっていたので分からない)、ある人が、マンディアルグというと「オートバイ」というのがありましたね、と言ってくれたので、話はそれきりになった。
 ということを、きょうホームセンターで秋用のキュウリの苗を買っていたとき、不意に思いだした。と、いうのは作り話で、キュウリの苗を買ったのはその通りだが、思いだしたのは、その少しあとだと思う。
 あの映画は元映(昔、神戸元町にあった映画館)で見たはずだと思い、家に帰って急いでインターネットで調べると、「インモラル物語」というオムニバス映画の中のひとつだと分かった。
 その映画を見たあとで、生田耕作の訳した「満潮(みちしお)」を読んだのだったか。いずれにせよ、私には名作のように思われた。それなのに、この映画評では星ひとつ。人の好みというのは分からないね。
(あとで思いだしたけど、「血の高原地帯」云々は、ジュール・シュペルヴィエルの「心臓」という詩の一節でした。それと、キュウリで「満潮」を思いだしたのは、映画「インモラル物語」の中でキュウリがよからぬ目的のために使われていたからでした。と、説明すると、何にも面白くなくなるけど。)

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