悲しい

ハゲタカ

妻は四年前、最初の病院(A病院としておこう)で、余命一週間と宣告されたのち、それが誤診であるということが分かり、しばらく治療を受けていたが、A病院では手に負えないということで、別の病院(B病院としておこう)に移った。妻の病状について回想す…

冷凍保存

ずいぶん久しぶりのブログだ。これから思い出したら書くことにしよう。 昨年の九月、舌癌の手術をした。幸い、初期のもので、すぐ退院できた。しかし、ロシア語が喋りにくくなった。巻き舌のRの音が出ない。日本人の半分ぐらいは巻き舌のRの音が出ないそうだ…

折目博子

夫も子供もいる「私」は、妻も子供もある男と、「自分達のあずかり知らない欲望のまま」、知らない街にゆき、そこで住みはじめる。今は亡き折目博子の短篇。折目博子は作田啓一の奥さんだった。小島輝正からそのことを教えてもらった。小島は富士正晴から折…

悲しい記憶

トルストイの『アンナ・カレーニナ」』の冒頭に、「幸せな家庭はすべて、おたがいに似ている。でも、不幸な家庭はそのひとつひとつが、それぞれに不幸だ。(Все счастливые семьи похожи друг на друга, каждая несчастливая семья несчастлива по-своему.)…