人生永遠の書

正宗白鳥深沢七郎の「楢山節考」を「人生永遠の書」と評したのはその通りで、何の異論もない。「楢山節考」が発表されたときから古典になっていたことは明らかだ。しかし、この古典を今の読者は理解できるだろうか。彼らの多くにとってちんぷんかんぷんであれば、それはもはや古典ではない。こんなことを言うのは、今や謙遜という言葉が死語になっているからだ。謙遜が分からぬ者におりん婆さんの偉さは分からない。しかし、こんな風に嘆いていると、鶴田浩二の「傷だらけの人生」みたいになってしまうな。