ダウト

 フィリップ・シーモア・ホフマンの出ていた「ダウト〜あるカトリック学校で」。同性愛者の神父役のホフマンはその怪しげな雰囲気がぴったりだった。厳格な校長のメリル・ストリープの演技もこれ以上はないというほどすばらしかった。その他、教師のエイミー・アダムスも魅力的で、演技も正確だった。
 この映画のテーマである「ダウト(疑惑)」は二つの意味をもつ。ひとつは、神父とある黒人の男子生徒の関係に対する疑惑であり、この疑惑を校長は徹底的に追及してゆく。もうひとつの疑惑は、校長自身によって語られる、自らの信仰に対する疑惑だ。
 校長は同性愛者の神父をどうしても許せない自分を許せない。なぜ自分はこんなにも不寛容なのか。それは自分に神に対する信仰がないからではないのか。そう自らを疑い、校長は泣き崩れる。その手に若い教師役のエイミー・アダムズが優しくふれる。この場面で映画は終わる。私もこの場面で泣いた。何度見ても泣くだろう。