文系不要論

 文部科学省が国立大学に、ビジネスに役立たない文系学部は不要だという通知を出したということだ。けっこうなことだ。ついでに、ビジネスに役立たない理系学部も廃止してほしい。理系でもビジネスと無関係の学部はたくさんあるだろう。
 こういう実学志向は昔から寄せては返す波のように大学に押し寄せてきているので、わたしも文部科学省がビジネスに役立たない学問は不要だという考えを持っているのは十分承知していた。承知していたが、その考えを表に出すと思っていなかったので、そのニュースを聞いて赤面した。電車の中で真っ裸になっている人間を見たような気持になった。
 しかし、よくよく考えると、いや、考えないでも、近代国家というのは、せいぜい富国強兵策ぐらいしか思い着かないので、大学にもそれを押しつけたということだろう。富国強兵に役立たない学問をやる連中に税金を注ぎ込む必要などないということだ。
 だから、いっそのこと、大学などという中途半端な名前はやめて、「富国強兵学校」というような名前にして、国家の思い通りになる人間を作りだせばいいだろうと思う。そして、色と欲にしか興味のない国民を作りだせばいいだろう。