チェルノブイリ・ハート

 昨日、絶飲食のまま堺東の診療所で健康診断の再検査を受け、その帰り、「チェルノブイリ・ハート」(シネ・リーブル梅田)を観た。これは二つの短編記録映画からなり、第一部がミンスクの病院などを舞台にした「チェルノブイリ・ハート」(チェルノブイリの心臓)、第二部がチェルノブイリ周辺の団地を舞台にした「ホワイト・ホース」(白い馬)だ。観客はまばらだった。10名ぐらいか。
 「チェルノブイリ・ハート」とは、被曝した子供の心臓に穴が開き、放置すればまもなく死に至るというような心臓のことだ。チェルノブイリからはるか遠く離れたベラルーシ白ロシア)に放射能が飛散したため、このような心臓をもつ子供がたくさん生まれた。映画では、この「チェルノブイリ・ハート」の障害をもつ子供だけではなく、奇形児や精神障害をもって生まれた子供など、これでもかこれでもか、という風に障害をもった子供たちが紹介されてゆく。つらい場面の連続だった。嘔吐したり失神する観客が出るに違いない。私自身観ていて発狂しそうになった。生まれた子供のうち健常児は20パーセント以下だそうだ。次々に死んでゆく他ない、もはや生きる望みのない子供たちを看護しているベラルーシの女性たちを見て、奇跡を見ているような気持になった。
 「ホワイト・ホース(白い馬)」は20年ぶりに自分の住んでいた団地を訪れる青年の話だ。その団地の住人はチェルノブイリの事故の直後、強制避難を命じられた。青年は自分の住んでいた部屋に入り、そこに両親が貼ってくれた白い馬の写真がまだ貼ってあることに気づく。この時に帰りたい、と青年はつぶやく。青年はこの撮影のあとまもなく病死したということだ。